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豪華絢爛なお神輿よりも、沢山の七夕飾り
前章までで、雷を誘い、その衝撃を物理的に遮断して磁束だけを取り出す「磁気変換器」の概念を固めた。しかし、ここで最後の巨大な壁が立ちはだかる。それは、「どこに、どのように設置し、どう運用するか」というインフラ設計の問題である。
各地の山頂に移動できるタワー?値段が張りそうなアイデアだ!
当初、私は「移動式タワー」を構想していた。雷が発生しやすい気象条件を追いかけ、
ピンポイントでタワーを設置すれば、効率よくエネルギーを回収できると考えたからだ。
だが、この考えは今では「完璧主義という名の罠」に過ぎないと断言できる。
タワーを移動させるための巨大な構造物、それを制御する複雑な同期システム、落雷のたびに発生する
激しい電磁ノイズ下での高度な通信――これらすべてを移動体として維持管理することは、
メンテナンスの観点からも、安全性の観点からも、自殺行為に近い。
安価に作り、数で勝負
ここで私は、戦略を大きく転換する。「移動を捨て、安価な標準化ユニットを広範囲に
分散配置する」というアプローチだ。
この設計の核心は、「一つのユニットで大金を稼ぐ」のではなく、「数千のユニットで、
社会のインフラとして雷を待ち構える」という確率論的な網を張る点にある。
各標準化ユニットは、一つのコンテナに収まる程度のサイズを想定する。受電・変換層
(フロントエンド)、エネルギーのバッファ層、そして中央の核融合炉へ熱や磁気を送る
インターフェース層。これらをモジュール化し、誰でも作れる、あるいは量産可能な
水準まで仕様を落とし込む。
どれかが故障しても、数で補う
この「標準化」がもたらす最大の恩恵は、
「システムの故障をシステムの一部として組み込める」という点だ。
野外の過酷な環境に
100個のユニットを配置すれば、当然、落雷や風雨によって故障するユニットが出てくる。
しかし、完璧なタワーであれば、その一つが止まることがシステム全体の致命傷になる。
一方、私の構想する分散型であれば、壊れたユニットは放置しても良いし、時間がある時に修理すれば良い。個々の故障が、全体を停電させることはない。
これは、かつてのメインフレーム(巨大集中型コンピュータ)から、
今日のクラウドネットワーク(分散コンピューティング)への進化に似ている。
個々のサーバーが壊れてもサービス全体は止まらないように、我々もまた、「安価な個体」の集合体として「不滅のエネルギー・ハーベスティング網」を築くべきなのだ。
各地に配置して、落雷予想の情報を集約、分析
また、このユニットは落雷を待つだけの受動的な存在ではない。各ユニットには安価な
電界計や湿度・温度センサーを搭載し、リアルタイムで大気の帯電状況を気象データと
照合させる。つまり、ユニットの配置網そのものが、「雷の発生を予言する巨大なセンサー」として機能する。
気象学者や地質学者の知見を統合し、どこに配置すれば最もエネルギーを収穫できるか――そのアルゴリズムは、稼働するユニットが増えれば増えるほど、
経験的に最適化されていく。失敗した配置場所は淘汰され、成果を上げる場所にはユニットが増殖する。これは、まるで進化論的なアプローチだ。
扱いにくい雷エネルギーを核融合の着火剤にする
「完璧」を目指して高価なタワーを追いかける必要はない。安価なモジュールを無数に
配備し、自然の不確実性を確率の中に吸収させる。そうして集まったエネルギーを、
中央の核融合炉という「エネルギーの真空地帯」へ集約する。
移動を捨てたことで、私の構想は「機械装置」という枠組みを離れ、
「土地そのものをエネルギーの農場に変える」というランドスケープ・デザインへと
昇華した。
最後に、これら分散されたユニットから得られたエネルギーを、いかにして最終的な社会の動力へ変換するか。
次章では、この構想の結びとして、「雷のスパイクを燃料という資産に変える」という
e-fuel生成の可能性について論じ、この思考の旅を終えたいと思う。






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