羊の皮を被った「あの日」の英雄たち
昨日、公開されたばかりの映画『ひつじ探偵団』(字幕版)を観てきました。 『ミニオンズ』のカイル・バルダ監督が手掛けた本作は、単なる動物コメディではありません。キャスト陣を見て「おや?」と思った映画ファンは多いはず。ヒュー・ジャックマン、エマ・トンプソン、そしてパトリック・スチュワート……。そう、この映画は私のようなX-MENシリーズを愛するSFファンにとって、たまらない仕掛けに満ちた作品だったのです。
「間抜け」たちが挑む本格ミステリー
まず面白いのが、タイトルにもなっている「ひつじ(Sheep)」の言葉の響きです。英語圏で「Sheep」といえば、自分の意見を持たず他人の言いなりになる「間抜け」や「盲従する人」という侮辱的なニュアンスが含まれます。つまり、原題の裏には「間抜け探偵団」という皮肉めいた意味も隠されているのかもしれません。
さらに、劇中で異彩を放つ黒い羊のセバスチャン(声:ブライアン・クランストン)。英語で「Black Sheep」は「のけ者」や「変わり者」を指します。そんな彼らが、人間には「メェ〜」としか聞こえない鳴き声の裏で、知略を尽くして事件に挑むギャップが本作の醍醐味です。
「青」でつながる『LOGAN』へのオマージュ
物語の中で、ヒュー・ジャックマン演じるジョージが、ひつじのセバスチャンを持ち上げるシーンがあります。その屈強な腕に抱かれる羊の姿を見た瞬間、私の脳内には「ウルヴァリン」の姿が重なりました。
さらに、映画ファンをニヤリとさせるのが「薬」の存在です。 セバスチャンの声を演じるブライアン・クランストンといえば、伝説のドラマ『ブレイキング・バッド』のハイゼンベルク。彼は劇中で「青い麻薬」を精製していましたが、今作で「青い薬」を作っていたのは、なんとジョージ(ヒュー・ジャックマン)の方でした。
そして、その薬を飲まされていたのが、老いたリッチフィールド卿(声:パトリック・スチュワート)です。この構図は、映画『LOGAN/ローガン』でウルヴァリンがプロフェッサーXを献身的に介護していた関係性と完全にリンクします。かつてのヒーローたちが「青」という色を介して再会し、世話を焼く側と焼かれる側を演じている……。パトリック・スチュワートの震える声を聴きながら、あの切ない絆を思い出さずにはいられませんでした。
「赤(ピンク)」がつなぐハリー・ポッターの奇縁
一方で、強烈な「赤(ピンク)」のつながりも忘れてはいけません。 ジョージの弁護士役として登場するエマ・トンプソンは、今回なぜか全身ピンクの衣装に身を包んでいます。エマ・トンプソンといえば、映画『ハリー・ポッター』シリーズの占い学教授、シビル・トレローニー役でおなじみです。
『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』では、ピンクの服を着た冷酷なアンブリッジ先生に学園を追い出されそうになり、泣き崩れていた彼女。しかし今回のエマは、まるでその天敵アンブリッジを彷彿とさせるような雰囲気で登場します。かつての被害者が、今度はその象徴のような姿で現れるというギャップは、シリーズファンへの粋なファンサービスに感じられました。
散りばめられた名前の魔法と、意外なキャスト
さらに深読みするなら、主人公の羊の名前が「リリー」であることも見逃せません。ハリー・ポッターの母親と同じ名前……これも偶然ではないのかもしれませんね。
また、劇中で雑貨屋を営むベスを演じているのは、ホン・チャウ。どこかで見た顔だと思ったら、Netflixの『ナイト・エージェント』で大統領首席補佐官を演じていた彼女でした!硬派な政治劇から、ひつじたちが駆け回る村の雑貨店店主へ。彼女の演技の幅広さにも驚かされました。
『ひつじ探偵団』は、一見すると可愛らしい動物映画ですが、その実、名作たちの記憶を呼び覚ます「大人のためのオマージュ映画」でもありました。映画を愛する皆さん、ぜひ劇場でこの「つながり」を体感してみてください!







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