「車を水に強くする」のは無理なのか?EVの防水、潜水艦、そしてシュビムワーゲンから考えた思考の軌跡

 電気自動車に魅力を感じていませんでしたが

今年の夏も連日厳しい暑さが続いていますが、それに負けないくらい頻発しているのが、
空が急に真っ黒になって襲ってくる「ゲリラ豪雨」や都市型水害です。

Moebius(メビウス)のスタイルを彷彿とさせる、細密な線画とパステル調の色彩で描かれた浸水した街のイラストレーション。画面全体が浅い水に浸かっており、駐車場や道路には多数の乗用車が半分ほど水に沈んだ状態で放置されている。手前や中景には、水面から顔を出した車や漂う木くずが描かれ、奥の建物の入り口付近では人影のような姿が見える。背景には、朝焼けや夕焼けのような穏やかな光に包まれた遠くの街並みとビル群が広がっている。

ニュースなどで、道路のアンダーパス等で車が水没し、動けなくなっている映像を見るたびに「もし自分が巻き込まれたら……」と背筋が凍る思いがします。エンジン車であれば、
マフラーや吸気口から水が入ってエンストを起こし、そのまま命の危険につながる。
この恐怖から、今回の“思考の旅”が始まりました。

エンジンがないEVなら、水害に強いのでは?

まず頭に浮かんだのは、純粋な電気自動車(EV)の構造です。ガソリン車には不可欠な
「空気を吸い込む吸気口」も「排気ガスのマフラー」も、EVにはありません。

Moebius(メビウス)のスタイルを彷彿とさせる、細密な線画とセピア・ブルー調の色彩で描かれた作業場のイラストレーション。画面の中央では、作業着が汚れた男性が椅子に座り、基板と書類を手にしてタバコをくわえている。男性の頭の上には光る電球のアイコンが浮かび、「じゃあ、バッテリーや基盤、配線を徹底的に防水・封止(ポッティング)してしまえば、EVは水害にめちゃくちゃ強い最強の乗り物になるのではないか?」という吹き出しが出ている。背景の壁には「防水・封止(ポッティング)」と書かれたEVの構造図が掲示されており、周囲の作業台や床にはバッテリーや工具、部品が散乱している。

「じゃあ、バッテリーや基盤、配線を徹底的に防水・封止(ポッティング)してしまえば、EVは水害にめちゃくちゃ強い最強の乗り物になるのではないか?」

「リチウム系の電池は水と反応して危ないのでは?」という懸念もあるけれど、安定したリン酸鉄リチウムイオン電池を採用し、電装系を完全に密閉できれば、現在の不人気を吹き飛ばすEVの新しい強力なメリット(キラーコンテンツ)になるかもしれない……!

Moebius(メビウス)のスタイルを彷彿とさせる、細密な線画とセピア・ブルー調の色彩で描かれたガレージのイラストレーション。画面の中央では、作業着が汚れた男性が「電装系を完全に密閉できれば、現在の不人気を吹き飛ばすEVの新しい強力なメリット(キラーコンテンツ)になるかもしれない。」という吹き出しとともに、ボンネットから煙を上げる古い改造EV(「EV PROTOTYPE」の文字入り)を指差している。その隣では、スーツ姿で眼鏡をかけた男性が、汗を拭いながら困惑した表情でメモ帳にペンを走らせている。壁には「完全密閉・防水システム(キラーコンテンツ)」と書かれたEVの構造図が掲示されており、周囲の作業台や床にはバッテリーや工具、部品が散乱している。

技術的なコストはかかっても、それが標準化されればコストも下がり、水害に怯える
ドライバーの救世主になる。そんな妄想を膨らませていました。

浮いてしまった車に「潜水艦の知恵」は使えるか?

しかし、さらに思考を進めると別の壁にぶつかります。車体が水に浸かり、タイヤが浮いて
コントロールを失ったらどうするか。

Moebius(メビウス)のスタイルを彷彿とさせる、細密な線画とセピア・ブルー調の色彩で描かれた薄暗い地下道(アンダーパス)のイラストレーション。画面の中央には、泥水に半分ほど浸かったブルーの小型乗用車が停止しており、運転席では帽子をかぶった男性が疲れ切った表情でハンドルに手を置いている。男性の頭の上には「あぁ、やっぱりこうなっちゃうのか……」という思考吹き出しが出ている。車の周辺や水面には、泥水や漂流物が広がっており、左側の壁には「危険・アンダーパス・浸水」と書かれた看板が掲示されている。

ここで出てきたのが、「あえて車内に水を取り込んで車重を増やし、タイヤを接地させて脱出する」という、潜水艦のバラストタンクのような逆転の発想です。

Moebius(メビウス)のスタイルを彷彿とさせる、細密な線画とブルー調の色彩で描かれた潜水艦の透視図(カットモデル)のイラストレーション。画面の中央に浮かぶ潜水艦の内部構造が断面として描かれており、複数の区画や乗組員の様子が確認できる。艦の側面からは、メインバラストタンクへの注水に伴い、激しい水流や泡が勢いよく噴き出している様子が表現されている。画面の左上にはめ込み図(インセット)として「メインバラストタンク注水操作盤」と記されたコンソールを操作する乗務員たちの姿が描かれている。

……が、これはすぐに破綻しました。車内に水が入ってきた瞬間、外部の水圧との差で
ドアが二度と開かなくなる恐怖や、高電圧を扱うEVのキャビンが水浸しになるリスクを
考えると、サバイバル映画のようにはいかない現実が見えてきます。

ならば伝説の軍用車「シュビムワーゲン」のように
泳げばいいのか?

車を重くするのがダメなら、第二次世界大戦中のドイツ軍が使った水陸両用車
「シュビムワーゲン」のように、スクリュープロペラをつけて水面を航行してしまえばいいのではないか?

Moebius(メビウス)のスタイルを彷彿とさせる、細密な線画とパステル調の色彩で描かれた道路の風景イラストレーション。画面の中央には、軍用車両のような古い小型のオープンカー(水陸両用車風)が道路を走っており、運転席には作業着と帽子を着た笑顔の男性が乗っている。助手席には腕を組んで不機嫌そうな表情をした女の子が座り、「THIS CAR IS UNCOOL」という吹き出しを出している。背景の道路には別の車やバスが走り、遠くには未来的な建物が並ぶ都市や豊かな森林、電柱が描かれている。

モーター駆動が基本のEVであれば、独立した小型の水中スクリューを配置するのは構造的にも相性が良さそうです。「泳げるクルマ」というロマンの塊ですが、
歴史的なシュビムワーゲンが抱えていた問題に思い至ります。

Moebius(メビウス)のスタイルを彷彿とさせる、細密な線画と柔らかな色彩で描かれた郊外の道路沿いのイラストレーション。画面の中央では、ランドセルを背負ったセーラー服姿の女の子が腕を組んで不機嫌そうに立ち、「やっぱり人形が古い、変なネジがいっぱいで…ダサいよ……」という思考吹き出しを出している。その隣では、泥だらけの作業服を着た整備士の男性が、錆びた軍用車両のような水陸両用車のエンジン部分を指差しながら、「「これぞメカの詩!水陸両用車だから水陸両用がいっぱいで、ダサいよ……」」という思考吹き出しを出して、満面の笑みで説明している。水陸両用車の後ろ側には、むき出しになったエンジンやスクリューが見える。背景には、砂利道や木々、遠くの山々が描かれている。

シュビムワーゲンが直面していた現実

  • 激流への無力さ: 穏やかな川なら進めても、現代の都市型水害のような「逃げ場のないアスファルトの濁流」の前には、プロペラがあっても流されてガードレール等に激突してしまう。

  • 障害物のリスク: 浮遊するゴミや木の枝、マンホールの穴などにヒットすれば、
    剥き出しのプロペラは一瞬で破損する。

Moebius(メビウス)のスタイルを彷彿とさせる、細密な線画とセピア・泥色調の色彩で描かれた水害後の街のイラストレーション。画面の中央では、泥水に半分浸かった軍用車両のような水陸両用車のそばに、泥だらけの作業服を着た男性が立ち、困惑した表情で車体を覗き込んでいる。その車体の前部には、自転車やプラスチックゴミ、扇風機などが大量に絡みついている。車体の後ろ側には、ランドセルを背負ったセーラー服姿の女の子が腕を組んで怒った表情で立ち、「全然だめじゃん!プロペラがゴミだらけで動かないよ!?」という思考吹き出しを出している。背景には、泥水に沈んだ荒涼とした都市の景色が広がっている。

軍用の特殊な状況と違い、一般のドライバーが日常で使うクルマにそれを載せるのは、
コストや安全性の面で現実的ではありませんでした。

結論:きれいにまとまらなかったけれど

「車を水に強くする」というロマンからスタートし、EVの防水、潜水艦のバラスト、そしてシュビムワーゲンのプロペラへと妄想を広げていきましたが、最終的にたどり着いたのは、いかに自然の猛威(水流・圧倒的な重さ)が凄まじいかという現実でした。

Moebius(メビウス)のスタイルを彷彿とさせる、細密な線画とセピア・ブルー調の色彩で描かれた荒れたガレージのイラストレーション。画面の中央には、エンジンが剥き出しになった古い錆びた小型軍用車両のような車が止まっており、その前でセーラー服姿の女の子が怒った表情で車を指差しながら、「パパがまた失敗して酔っ払って寝てるのよ!もう最低!」という吹き出しを出している。その後ろでは、作業着姿の男性が車のそばに寄りかかり、うつむいて酔っ払っているような様子で、ビールの瓶が散乱している。車の反対側では、腕を組んだ作業着姿の女性が険しい表情で立っており、「またか…後でしっかり話さないとね。」という吹き出しを出している。背景の壁には、赤い×印が大きく書かれた「完全密閉・防水システム(キラーコンテンツ)」と記された設計図が貼られている。ガレージ全体には、工具やバッテリー、配線などが乱雑に散らばっている。

技術で車をどれだけ頑丈にしても、自然をねじ伏せることはできない。だからこそ、
自動車業界や私たちが目指すべきなのは「車を潜水艦にすること」ではなく、「危険な冠水路には絶対に近づかないこと」、そして「一早く逃げる仕組みを作ること」という、
当たり前だけど最も確実な結論に戻ってきました。

Moebius(メビウス)のスタイルを彷彿とさせる、細密な線画とブルー調の色彩で描かれた荒天の都市風景のイラストレーション。画面の中央では、作業服姿の男性と、ランドセルを背負った制服姿の女の子が、エンジンがむき出しになった古い6輪の水陸両用車に乗っている。車は激しい雨の中、濁流で冠水したトンネルの前を走っており、男性は困惑した表情で前を見つめ、女の子は男性の肩をつかみながら「危ないから、入っちゃダメ!」という吹き出しを出して必死に引き止めようとしている。トンネルの入り口には「危険・冠水路・進入禁止」と日本語で書かれた黄色い看板と、英語の標識が設置されている。背景には雨に煙る無機質なビル群が描かれている。

いいアイデアとして綺麗にまとまったわけではありませんが、こうして「クルマの限界と
ロマン」をあれこれと考えるプロセスそのものが、防災について深く考える良いきっかけになった気がします。

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