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生物が利用できるためには、脱塩が必要
地球が宇宙でも稀有な「液体の水に満たされた惑星」である一方、私たちがその恩恵を
そのまま使えるかというと、現実はそう簡単ではありません。地球上の水の大部分を占める海水は、そのままでは人間が飲むことも、そのまま農業や工業に使うこともできない「塩水」だからです。
地球規模の水不足を解決し、持続可能な社会を維持するため、世界中で進められているのが海水や塩水から真水を取り出す「脱塩技術(水処理技術)」です。
私たちが思い浮かべる脱塩と、その限界
脱塩と聞いてまず思い浮かべるのは、古くからある「蒸留法」や、現代の水処理プラントの主流である「中空糸膜(逆浸透膜:RO膜)」でしょう。
蒸留法: 海水を熱して水蒸気に変え、それを冷やして真水に戻す方法。熱エネルギーを大量に消費するためコストが高いという課題があります。
RO膜(逆浸透膜)法: 髪の毛よりもはるかに細い無数の孔が開いた中空糸膜などに高圧で海水を押し付け、塩分を通さずに水分子だけをろ過する方法。現在の海水淡水化の
主力ですが、大量の高圧ポンプを動かすための莫大な電力消費がボトルネックとなっています。
コストとエネルギーの壁を越える「次世代の脱塩技術」
こうしたエネルギーとコストの課題をクリアするため、現在さまざまな革新的な
脱塩アプローチが研究・実用化されています。
正浸透膜(FO法:Forward Osmosis) 高圧ポンプで無理やり水を押し出すのでは
なく、濃度が非常に高い特殊な「ドロー溶液」を使い、浸透圧の力だけで自然に水分子を移動させる方法です。消費エネルギーを劇的に削減できるため、省エネ技術として
注目されています。太陽光界面蒸発法(ソーラー・デスリネーション) 光熱変換材料を水面に浮かべ、
太陽光のエネルギーだけを使って表面の水を集中的に蒸発させる技術です。電気や
大規模なインフラを必要としないため、途上国や離島、災害時における
「低コストな分散型水源」として期待されています。容量性脱塩(CDI:Capacitive Deionization) 電極に電圧をかけ、水中のナトリウムイオンや塩化物イオンを電気の力で直接吸着して取り除く方法です。海水のような
高塩分にはまだ難しいものの、比較的塩分濃度の低い地下水などの処理において、
驚異的な省エネ性を発揮します。
脱塩技術が直面する「もう一つの課題」
こうした低コストかつ高効率な脱塩技術の進化は、水不足に悩む世界を救う希望の光です。しかし、技術がどれほど進歩しても、避けて通れない「物理的な宿命」が一つだけ
存在します。
それが、真水を取り出したあとに残る「濃縮塩水(ブライン)」の存在です。
高濃度の塩分を含んだ副産物をそのまま海洋へ戻せば、周辺の海洋生態系に深刻なダメージを与えてしまうリスクがあります。私たちが地球の豊かな水システムから恩恵を受け続けるためには、水を「いかに安く、効率よく真水化するか」という技術だけでなく、その裏側で生まれる地球環境への負荷をどうコントロールするかという、
マクロな視点が不可欠なのです。







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